■「広範な知識や好奇心がなければ、分かりやすく教えることはできない」

 かつて芹沢博文という棋士がいらっしゃったんですが、彼のテレビ解説がすごく面白かったんですよ。

 バカな冗談を言いながらも、大事な局面では専門的な知識がバーッと出てくる。そのギャップがもう、最高にカッコよくて、こんなふうになりたいと思いながら見ていました。だから僕が理想とするのは、芹沢九段のような気象予報士なんです。

 予報自体はスーパーコンピュータにお任せしても、解説すべきことは山ほどある。広範な知識や好奇心がなければ、分かりやすく教えることはできないし、面白く伝えることもできないんです。

 気象予報士には、勉強が好きな人ならきっと誰にでもなれます。ただ、気象解説ということになると、誰にでも、というわけにはいかない。人に伝える技術、コミュニケーション能力が必要になってくるでしょう。

 気象以外で、個人的に一番興味があるのは「島バナナの普及」です。島バナナは、沖縄在来種の小ぶりなバナナで、むちゃくちゃうまいんですよ! もっちりとした食感でリンゴやキウイのような酸味があり、バナナ嫌いの友人さえトリコにしてしまったほど。ただ、今は専業で作っている農家がほとんどなく、病虫害にも弱いため、沖縄以外ではめったに手に入らない。どうにかこのバナナを皆さんに知っていただこうと「島バナナ研究会」というのを作って地道に活動しています。

 面白い天気予報と、島バナナ普及。これからはこの2本立てで、生きていきたいですね(笑)。

森田正光(もりた・まさみつ)
1950年生まれ。愛知県出身。財団法人日本気象協会を経て、1992年、初の「フリーお天気キャスター」となる。同年、民間気象会社『ウェザーマップ』を設立。レギュラーを務めるニュース番組『Nスタ』(TBS系)をはじめ、さまざまな媒体で気象情報を伝える他、気象に関する著書も多数出版している。

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