■いつもの麺が名店の味に
こうした趣向を凝らしたラーメンは、そのまま堪能しても、もちろんおいしいが、本誌では今回、ラーメンに精通する達人たちのお知恵を拝借することに。家で食べるラーメンに、ひと手間加えるだけで100倍おいしくなる秘技を教えてもらった。
まずは、いつもの麺が名店の味に近づく裏ワザ。
「私は、多くのスーパーで売られている『マルちゃん正麺』で、よくやっているんですが、2人前を作るときも1人前ずつ作ることにしてます」(野本氏)
この手間が、おいしい麺を作るための第一歩という。
「おいしい麺に仕上げるのに重要なのは、お湯の温度の上昇具合や沸騰具合なんです。2人前、3人前分を一度に茹でてしまうと、おいしい麺に仕上げるのに適した湯温、沸騰状態になりません」(前同)
また、茹でる際に、麺だけで茹でることも大切なポイントだという。
「スープと麺、トッピングを一つの鍋に入れて作ってしまうと、お湯の温度や、麺の茹で時間が微妙に変わっちゃうので要注意です」(杉山氏)
そして、お湯の量は、けっしてケチるなかれとアドバイスするのは、現在、台湾で料理の研鑽をしている料理研究家のオガワチエコ氏である。
「特に生麺は、たっぷりのお湯で茹でましょう。そうすることで、麺のベタつきや嫌な臭いを抑えることができます」
加えて、茹で時間にもこだわると、しっかりとコシのある麺ができあがる。
「表示されている茹で時間より30秒ほど短く茹でて、少し固めにしています」(杉山氏)茹で上がったら、ここでも、ひと手間加えたい。
「麺をザルに上げ、しっかりと湯切りをしましょう。麺の余分な水気がなくなり、おいしい麺になります」(前出のオガワ氏)
ラーメンといえば忘れてはならないのがスープ。ちょっとした工夫で、数段、うまくなるという。
「ショウガ、ニンニク、ネギの茹で湯をスープに使うと、ニンニクやショウガの香りがスープに溶け込み、味の深みが増すんです」(前同)
さらに、達人たちは、ラーメンの味ごとの裏ワザも教えてくれた。まずは、しょうゆ味。鶏ガラスープと、しょうゆを少々、味の素、ゴマ油をあえた白髪ネギを、ラーメンに載せよう。
「たったこれだけで、味がワンランクアップします。お店で食べるラーメンそのものの味になるんですよ」(杉山氏)
しょうゆ味に、よりうまみを加えたければ、スープにコーヒー用の粉末ミルクを入れてみよう。
「実は、豚骨スープのうまみと、粉末ミルクのうまみは、ほぼ一緒なんですね。だから粉末ミルクを入れると、豚骨しょうゆ味になって、いつもの味が様変わりします」(野本氏)
カレー味や、今はやりの煮干し系ラーメンは、“追い足し”するだけで、一気に風味が増す。
「カレー味には、カレー粉を、小さじ1杯。煮干し系なら、魚粉を好みの量、足します。こうするだけで、そこら辺のお店のクオリティを超えるぐらい、おいしくなります」(前同)
自分だけの最高のラーメン作って味わいつつ、コロナに打ち勝とう!