吉増は同じく2015年リリースの13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』に収録された深川麻衣の個人PVに出演するが、ここでも彼が引き受けるのは翻弄される男の役であった。同シングルで山岸は西野七瀬の個人PVも監督しているが、西野の作品と世界観をリンクさせた深川主演のこのショートドラマで、吉増は学校に面談に来た保護者を演じている(おそらく西野七瀬の父親役として設定されている)。

https://www.youtube.com/watch?v=IU-i1Gr0jmw
(※深川麻衣個人PV「また、茶でも」予告編)

 もっとも、この作品で吉増にあてられた役には、先の堀と松井のペアPVとは違い、これといった落ち度があるわけではない。どちらかといえば、ぎこちないながらも社交辞令で場を取り持とうとする、真面目な役柄である。それだけに、先生役を演じる深川の人を喰ったような言動に呑まれていくさまはどうにも理不尽だが、この不可思議な空気感こそが山岸的世界の醍醐味でもある。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4