■恩師・高倉健への思い

 特に反響が大きかったのが草なぎの演技で、ツイッター上では「能面の下からあらわれた能面以上に能面のような顔。慶喜の闇を一瞬で表現する底知れない演技力だ」「物言わずとも何かを物語っている目。ため息ものでした」などと、圧倒的な演技に見入ってしまったという声が相次いだ。

 主役の吉沢を演技力で食ってしまいそうな草なぎだが、23日に発表された「第63回ブルーリボン賞」では、トランスジェンダー役を演じた映画『ミッドナイトスワン』で主演男優賞に輝いた。演技者としての評価や存在感を着実に高め、国民的俳優への道を着実に歩んでいる。

 草なぎは受賞インタビューで「高倉健さんや大杉漣さんに伝えたかった」と恩人の名前を挙げている。草なぎは、高倉健(14年没)にとって最後の主演映画となった、12年公開の『あなたへ』で共演しているが、2人の交流の始まりは、草なぎがSMAP時代にトラブルを起こした、その3年前にさかのぼる。

 19年12月27日放送の『あさイチ』(NHK)に出演したとき、草なぎは「あるとき、僕が事件を起こしまして。それで(高倉が)手紙をくださったんですよ」と告白。事件とは、09年4月23日午前3時ころ、草なぎが泥酔して公園で全裸になってしまい、公然わいせつ容疑で現行犯逮捕されたこと。十分反省した事により、起訴猶予となっている。

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