南野陽子
南野陽子

アイドル食堂・第62回 天龍

■ナンノはいまでもお米を4杯食らう

 アイドルだってメシを食う。この連載もすでに60回を超えたが、俳句を捻るように、今日はこの人について書いてみよう、とひらめき重視のスタンスを取っているため、ガチのご贔屓アイドルはなかなか浮上してこない。

 ぼくにとって、それは昭和50~60年代に一世を風靡した少女たちになる。不思議なことにその多くが引退していない。マイナーだけどなんとなく好きだった、という女子もいないではないが、お気に入りのほとんどは瞬く間にスターダムを駆け上がっていった。

 何を隠そうぼくは、中森明菜や本田美奈子のデビューイベントにも駆けつけている。ラジオや深夜のテレビ番組で生歌を偶然聴いて、一発で胸をえぐられてしまい、いても立ってもいられなくなったからだ。

 その点、歌の上手さは二の次にして、楽曲の素晴らしさにじわじわと虜になったのが斉藤由貴南野陽子だった。ルックスも揃ってタイプだったが、いかにも良家育ち風の二人のファンとは素直に言えない、ひねくれたところが当時の自分にはあった。

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