しかし、この二人がどういうわけか、1985年から96年にかけ、続けざまにドラマで『スケバン刑事』(フジテレビ系)を演じた。もともと不良感度の高い、明菜や美奈子にはできない芸当。ツッパリのまんまやん~で以上終わりだ。ええとこのお嬢が不良少女っぽく振る舞うギャップに、視聴者は萌えまくった。そしてラストには、とことん感傷的な主題歌が流れるべきなのだ。

 しかも、『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』でのナンノは文字通り、その美貌を放送時間の半分は鉄仮面で覆われている。おまけに「おまんら、許さんぜよ」などと、野暮ったい土佐弁の台詞も強要された。いくら漫画が原作とはいえ、アイドルにはあるまじき設定。ところが、マイナスのかけ算のようにすべてがプラスに転じた。主題歌の『悲しみモニュメント』や『風のマドリガル』も切なかった。

 『悲しみモニュメント』は彼女がパーソナリティを務める、ニッポン放送の『南野陽子 ナンノこれしきっ!』のオープニングテーマとしても長く使用された。同番組でのナンノの軽妙なトークを作家の小林信彦が大絶賛していたが、当時の録音が何本もいまだYouTubeにアップされている。たまにバラエティ番組でナンノに遭遇すると、美貌もだが、トークの冴えも相変わらずだなと感心するのだ。

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