■『モーニングショー』が冒頭15分を“捨てる”ワケ

 月曜から金曜の午前8時にスタートする『モーニングショー』。その最初の15分を“捨てている”とはどういうことか。

「月金の8時から8時15分まで、NHKで連続テレビ小説が放送されているんです。現在放送中の『おちょやん』は世帯で16%前後と、過去の作品に比べるとそれほど数字がいいとは言えませんが、これまでの朝ドラだと20%超えは当たり前。

 しかも、朝ドラは特にシニア層がよく見ている。8時から15分の間、裏番組が何をやってもシニア層は朝ドラを見るわけです。そのため、視聴者層が朝ドラと被る『モーニングショー』は最初の15分間は、それほど注目度の高くないニュースを取り上げる傾向にあるんです」(前出の民放キー局ディレクター)

 4月21日、『スッキリ』(日本テレビ系)や『めざまし8』(フジテレビ系)では、番組冒頭にコロナ関連のニュースを取り上げた。一方、『モーニングショー』では「SNSなどで使う顔文字が若者世代で時代遅れになっている」というトピックを取り上げたのだ。

「コロナが緊迫する中、SNSの顔文字がどうだとかは正直どうでもいいニュースですよね。ところが、朝ドラが終わる直前の8時14分頃から、羽鳥さんが“さて次のニュースです”と振り、15分を迎えた直後に、最初の大きなニュースを伝えるんです」(前同)

『モーニングショー』では8時15分頃から、4月18日の昼にJR大阪駅でマスクなしの男性が電車に25分間居座ったトラブルを報じた。

 番組では独自に入手したと思われる一般視聴者提供の映像を放送。問題の乗客はマスクを着用せず、駅員の指示に従うことなく大きな声で怒鳴り続け、さらに駆けつけた警察官に促されても降車することなく、周囲の乗客からの「降りろ」コールでようやく降車するという、非常に緊迫感のある映像だった。

「多くの視聴者にとって興味関心の高いコロナ関連、しかも、感染者拡大に歯止めがかからず、緊急事態宣言を発令する方針を固めた大阪での出来事ですからね。かなり“引き”のある独自映像のネタを8時15分から始めたわけです。朝ドラ終わりの視聴者をがっちり捕まえる、という見事な構成ですよね」(同)

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