80年代トップアイドルと続々共演した「元ジャニ」中村繁之の存在感

　このドラマの主演は中村だったが、ヒロインを演じた新人アイドルを売り出すための企画のようにも感じられた。その新人アイドルとは森高千里である。デビュー当初の彼女は映画やドラマに出演していたのだ。

　中村の出演作は途切れなかった。１９８７年の秋からは『月曜ドラマランド』を離れ、当時、流行っていた　“ギョーカイドラマ”のひとつ『恋はハイホー！』（日本テレビ系）に出演。ＣＭ制作会社を舞台とした『恋はハイホー！』は菊池桃子の連続ドラマ初主演作で、中村は永瀬正敏とともに彼女の同僚を演じた。

　続いて、人気絶頂だった南野陽子が見習い看護師役で主演した『熱っぽいの！』（１９８８年／フジテレビ系）に、病院院長の三男役で出演。なお、この作品には当時は南野陽子よりわずかに格下だった工藤静香も見習い看護師役で助演していた。

　南野といえば“２代目スケバン刑事”だが、中村は“３代目スケバン刑事”の浅香唯とも共演している。１９８８年秋に当時、事務所の先輩だった田原俊彦と浅香が兄妹を演じた『金太十番勝負！』（フジテレビ系）に出演していたのだ。

　年齢を重ね、９０年代になると徐々に「主演アイドルの相手役」という定番ポジションから外れていった中村だが、１９９３年にジャニーズ事務所を離れたあとも長く俳優活動を続けている。

　彼のアイドル歌手活動はシングル４枚、アルバム１枚を出しただけで終わっている。しかし、おそらく歌手業が多忙ならば実現しなかった、菊池桃子、中山美穂、南野陽子、工藤静香、浅香唯、森高千里らビッグアイドルとの総なめ共演歴は唯一無二の貴重なキャリアだといえるだろう。

（文／ミゾロギ・ダイスケ）

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