第68回 串カツ田中
■串カツ田中の一日店長を務めたアイドル、寺嶋由芙
アイドルだってメシを食う。メシを食うには働かねばならぬ。コロナ禍でコンサートやイベントはよくて配信に切り替わり、多くは延期か中止に。握手会を催したり、そこでグッズを売ってナンボの、ライブアイドルは存亡の危機に瀕している。
そもそも演劇にせよロックにせよ、アングラに惹かれていた。だから、アイドルにおいてもライブ=地下を学びたい、と思った矢先、コロナ禍が来襲してしまった。
昭和のみぎりはさておき、昨今のアイドルのカーストについては勉強不足で、一口に地下といっても、いったい何階まであるかは知らない。ただ、デパートに喩えれば、地下駐車場にではなく、あくまで売り場にいる存在なら、本連載でも採り上げてよいとは、担当氏にも聞かされている。
もっとも、わかるだろうが、地下食品売り場はデパート内で最もカオティック。無目的にそこに立ち入ると、あれこれ試食などするうち、食欲も失せてしまい、何も買わずに帰る時が多々ある。周回するにも気合いが必要なのだ。デパ地下を泳ぐセンスもないぼくに、果たしてお気には見つかるだろうか……。