そんな時、串カツ田中ホールディングスが『アイドルの卵応援プロジェクト』を発足させたという報道に接した。同社は既存の「串カツ田中 秋葉原中央通り店」の店舗名を「串カツ田中 アキバあいどる店」に変え、地下アイドルを積極的に店員に採用すると決めた。つまり、アイドル活動を応援する特別店舗という位置づけだ。さる3月12日のことだった。

 アイドルの町アキバでイベントが行われない→ファンも集まらない→彼らが寄る近隣の飲食店も潤わない……という負のスパイラルが続く中、同社はサイトで以下のように宣言した。

「アイドルの卵がファンと触れ合える場所をつくり、お客様に笑顔になってもらうことで、串カツ田中のお店から秋葉原の町を明るくしたいと考えています。アイドルの方、目指している方の(店員への)ご応募をぜひお待ちいたしております!また、ファンの方だけでなく、今まで串カツ田中に来られたことのない方も楽しんでいただける企画や店舗づくりをしていきます!」

 串カツ田中という中年飲み助には近しい場所で、地下に潜らず(イベント会場に行かず)ともアイドルに会える。これは地下アイドル初心者には嬉しい仕掛けだ。

 まぁ、現役でもバリバリの店員はいなかろうが、枠組みを理解するためには恰好の場だろう。およそ界隈にはそんな店が先行してあったはずだが、東証1部上場、売上高100億円超のチェーンがアイドルの孵卵器となると話は別だ。

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