■平手の目力の強さに圧倒される

 楓が怪我をしてもチームを離れずチームのためにサポートとして帯同しているのが切なかった。表向きは怪我をしているから裏方としてチームを支えているように見えるが、信頼していたコーチとダブルスを組むパートナーに裏切られ、有名大学のスポーツ推薦入学の夢も消えたのだから、心の痛みはとんでもなく大きかったことだろう。それでも「恨んでいない、(悪いのは)怪我を隠していた自分だから」と言える潔さ。

 そして、自分が出来ることを考えてチームに寄り添うことが出来る気持ちの強さは、楓が心からバドミントンを愛しているからだろう。楓を陥れた生徒は、さすがに後悔の念に苦しみ試合も苦戦。押しつぶされそうな気持ちを見越してか、気合を入れるように拳を突き出した楓の清々しさは、演じている平手友梨奈そのものに見えたし、『不協和音』(欅坂46)のセンターでパフォーマンスをする本人を彷彿とさせた。そして、楓が東大を目指すと言ったら必ずやり遂げるだろうと確信できる程に素晴らしい芝居だった。

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