■インスタ映えする野湯も人気

 筆頭に挙げたいのは乳頭温泉郷・鶴の湯温泉(秋田県仙北市)。四つの泉質が異なる源泉があり、その一つ「白湯」が混浴露天だ。本誌連載『しずかな贅沢湯の宿』でもおなじみ、混浴温泉取材の第一人者・大黒敬太氏は、こう言う。

「秋田藩の殿様の湯治場だった、由緒ある温泉です。お供が泊まるための長屋“本陣”が、そのまま残っているなど、昔ながらの風情がウケています。お湯は女性に人気の高い乳白色。8000円台から宿泊できるのも魅力でしょう」

 そのため、テレビで取り上げられる機会も多い。

「また、乳頭温泉郷の8割が混浴なので、鶴の湯を拠点にして混浴だけの湯巡りを楽しめます」(前同)

 せっかくなので、のんびり連泊するのがいいだろう。

「山菜や名物の“山の芋鍋”、イワナの塩焼きなど郷土料理も豊富。地酒も美味です」(旅行ライター)

 東北には秘湯感あふれる混浴が多いが、藤七温泉・彩雲荘(岩手県八幡平市)は、その代表格だ。

「八幡平の大自然に囲まれた海抜1400メートルの高所にあり、併設された宿には電線や電話線も通っていないほど。6つの湯のうち5つが混浴で、朝焼けや雲海を望むチャンスもあります」(前出の旅行ライター)

 さらに“秘湯度”が高いのが、日本屈指の自然湧出量を誇る沼尻温泉・沼尻元湯(福島県猪苗代町)である。

「よく、テレビで芸人が山道を歩いて“こんな所に温泉が!”と、やっているのが沼尻元湯です。山間の荒れ果てた岩場の中に、源泉が湧き出すさまは、日本じゃないよう。野湯なので、脱衣所も男女のへだてはありません」(前出の大黒氏)

 ワイルドな沼尻元湯にわざわざ入りに行く、温泉ファンの若い女性も少なくないという。

「インスタ映えするのも、人気の理由でしょう」(旅行ライター)

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