『ドラゴン桜』第5話 鈴鹿央士と細田佳央太の激突!高橋海人との名演シーンの画像
ドラゴン桜(※画像はTBS公式サイトより)

ドラマ『ドラゴン桜』(TBS系)の第5話は、人を見下すことで自身を保とうと必死な藤井(鈴鹿央士/21)と、ものすごい能力を秘めた健太(細田佳央太/19)の開花に目を見張った。いつかぶつかり合うだろうと思ったこの2人と周囲の人々の心の動きに目が離せない。

 藤井と健太。どちらも分かりやすく見えて実は奥深いものがあった。藤井の性格の悪さは浅いものではなく、その闇の深さは失敗からくる恐怖心だ。発達障害を持つ健太に遠慮なく物言う気分の悪さは自分をも黒く染めているように見える。また、健太は周囲に迷惑をかけていることを少なからず感じていることを知って胸が苦しくなったし、過保護に接するだけでは見抜けなかった健太の才能が伸びていく様子は身内のようにうれしく感じた。

■藤井の孤独と恐怖心

 藤井の狂気が溢れていた。偏差値68、東大理科一類志望、インフルエンザになったせいで龍海学園しか受験できなかったが、勉強は裏切らないとでも言うかのように信じられるのは自分だけ。教室にいても誰かと交わる様子はないし、自宅の部屋で一人勉強をしていてもイライラが募るばかり。誰も近寄らない、寄せ付けない、なんて孤独なんだろう。

 これは藤井の自衛心の表れで、誰かを肯定したくないのだ。人を見下し、自分は優秀だと思うことで心の安定を図っているなんて、ちょっとかわいそうな人だと思う。そして、こういう人はどこに行っても必ず一定数いて、何をするにも文句を言い憶測も含めて悪く言う。聞いていて気分のいいものではないし、同調しなければあなたも同類ねと言わんばかりにまくし立てる、やっかいなタイプだ。

 批判することで自己を守り安定を得ているのだから仕方のない人だと思うしかない。藤井のたちの悪さは同級生に対して見下しているところだ。発達障害のある健太を「生きている価値もないような虫けら」と言い薄ら笑いを向ける。

 吐き気がするほどに不快だが、桜木(阿部寛/56)は見放していないように感じる。藤井が勝負に負ける度に、希望をすれば東大専科で根性叩き直してやると言っているのだ。藤井自身はこの恩情に反発しているが、こういう人間が改心すると強い。いつか、その日が来るのを楽しみに待ちたい。

  1. 1
  2. 2
  3. 3