■誰も否定しない桜木の鋭さと温かさ

 健太の才能を見抜いた桜木の鋭さは、まさに物の本質を見ている人のものだ。聴覚での記憶が得意ではないが、目から記憶したものには絶対的な強さがある。昆虫研究の第一人者の教授が書いた最新の英語論文を読むために、英語の辞書一冊覚えて読破し、教授に自分の理論をぶつけるために手紙を書くまでにほんの数日だったという。幼馴染の麻里にも、2年間担任をしていた田村(山田キヌヲ/39)にも見抜けなかった健太の能力。

 担任失格だと落ち込む田村に、発達障害の子どもと接する大変さを労い、学校が安心できる環境だったことを示した。それは田村にとっても、麻里にとっても、心が救われる程にうれしい言葉だっただろう。また、学校の教育環境については理事長である龍野(江口のりこ/40)の教育理念も関係してくる。進学校化を嫌い東大専科を目の敵にしているけれど、基本は教育者としての考えを持っている人だ。

 3話で、藤井と東大専科で対決した際の出題問題について協議している場で言った台詞は、素晴らしく心に残るものだった。難関大コースの担任が出した問題は「難解な知識を問うものが多い」と感じ、東大専科の水野が出した問題は「広く視野を持つ力と思考力を育める」と判断して、水野の案を採用した。

「人生で大事なのは知識の詰め込みじゃない。豊かな人生を送ることなの」と言ったことが全てで、高校生活だけではなく長い人生をどう過ごすかを考えて教育の場を持ちたいと思っていることが伝わってきた。これを桜木もよく分かっていて、東大を目指す生徒がいる限り東大専科クラスは存続するだろう。東大専科の生徒たちが飛躍する姿が早く見たい。次回も楽しみだ。

(文・青石 爽)

『ドラゴン桜』は、2005年7月期に放送され社会的ブームを巻き起こした同名ドラマの続編となる新シリーズ。原作は『モーニング』(講談社)にて連載中の三田紀房氏による『ドラゴン桜2』で、前作ドラマの15年後のストーリーをオリジナル展開で描く。偏差値32の龍海学園は経営破綻寸前にあり、これを打開すべく学校再建のエキスパート弁護士・桜木建二(阿部寛/56)による再建を図るが、理事長の龍野久美子(江口のりこ/40)は進学校化に反対、生徒は姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝(高橋海人/22)、バドミントン全国トップレベルの選手である岩崎楓(平手友梨奈/19)、優秀な弟に劣等感があり見返してやりたい天野晃一郎(加藤清史郎/19)など悩みや問題を抱えた生徒たち。桜木の教え子であり弁護士になった水野直美(長澤まさみ/33)の奮闘にも注目の学園ドラマである。

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