そして、初のペアPV制作となったシングル『命は美しい』では、満を持して生田と松村のコンビで、再度月田、山本、柴谷が手掛ける「からあげ姉妹」の続編が制作される。

https://www.youtube.com/watch?v=qFfhLWnnWQg
(※生田絵梨花・松村沙友理ペアPV「からあげ姉妹(Ⅲ)(Ⅳ)」予告編)

 前回の二作品がもつオフビートな雰囲気は保ちつつ、ここで幾分ドキュメンタリー風味に追尾されるのは、二人が身の回りの小物を使って音を鳴らし、それらをサンプリングして重ねてゆきながら、次第に独特のビートを生み出していく過程である。

 それら一連のプロセスを経て、ラストに新たなオリジナル楽曲『サイダー』が披露されるに至る流れは、「からあげ姉妹」のユニットとしての性格を強めるものとしてある。幾年にもわたるユニットとして定着するうえで、このペアPVが果たした中継点としての役割は小さくない。

■日常の「音」をサンプリング

 また、本作では二人が夜の公園などで音を鳴らす様子がややシュールな画とともに収録され、音声と同時に映像もサンプリングで重ね合わされることで、独特の空気感を生んでいるが、こうした日常の何気ない音/映像を収集し重ねていく過程は、個人PVの自由度および尺の長さとそもそも相性が良いようだ。

 二度のペアPV制作を経たのち、13枚目シングル『今、話したい誰かがいる』で再度個人PVが制作された際には、永島聖羅の作品(監督:三枝友彦)でも同様の試みが行なわれている。

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