■早瀬の焦りと最強の「てへっ」が微笑ましい
早瀬はのんびりしているようで、実はせっかちで安心できる材料が手元にないと焦り苦しむタイプだった。女の子らしいといえばそれまでだが、柔らかいものに癒されたり安心したいのだろう、自宅の部屋がふわふわのぬいぐるみに溢れていたり、スマホカバーも動物をモチーフにした柔らかい布素材を使用している。穏やかな早瀬が、東大専科をクビになることを恐れて成績を出すことに囚われて暴走するように焦ってしまっていたのは意外だった。
そして勉強することをやめてしまいたいという感情に行きついてしまう早瀬を落ち着かせ、言い聞かせたのは桜木だった。瀬戸屋でラーメンを食べながら、普通の家庭で、普通の両親で、普通に学校へ行く自分は、別に普通だという早瀬に「お前は生まれ持っての幸運だ」と言う。その普通がどれだけ幸せなことかを説明した時に、瀬戸の何とも言えない表情を見せたことで、同級生の誰もが何かしら背負っているということを見せつけた。
早瀬も本当は分かっているのだろう、桜木に「覚悟を決めろ」と言われて涙を流した。受験には運も大事なことは藤井を思えば頷けるだろう、高校受験でインフルエンザにかかり受験できたのが龍海学園しかなかったのだ。そして、同級生が作ってくれたラーメンはチャーシュー大盛りだなんてラッキーだし、苦しい気持を間接的に見て聞いて見守ってくれた瀬戸がクラスにいる。やはり早瀬は運を持っていると思うし、やる気を引き出す桜木はさすがだなと思う。後日、早瀬が東大をあきらめないと言い、立ち直ったときの「てへっ」は可愛かったし、「爆上げだー!」と盛り上がる様子を見て安心した。やっぱり早瀬はこうでないと。次回も楽しみだ。
(文・青石 爽)
『ドラゴン桜』は、2005年7月期に放送され社会的ブームを巻き起こした同名ドラマの続編となる新シリーズ。原作は『モーニング』(講談社)にて連載中の三田紀房氏による『ドラゴン桜2』で、前作ドラマの15年後のストーリーをオリジナル展開で描く。偏差値32の龍海学園は経営破綻寸前にあり、これを打開すべく学校再建のエキスパート弁護士・桜木建二(阿部寛/56)による再建を図るが、理事長の龍野久美子(江口のりこ/40)は進学校化に反対、生徒は姉と2人で両親が残したラーメン屋を手伝う瀬戸輝(高橋海人/22)、バドミントン全国トップレベルの選手である岩崎楓(平手友梨奈/19)、優秀な弟に劣等感があり見返してやりたい天野晃一郎(加藤清史郎/19)など悩みや問題を抱えた生徒たち。桜木の教え子であり弁護士になった水野直美(長澤まさみ/33)の奮闘にも注目の学園ドラマである。
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