これに関して、『BRODY 2021年2月号』(白夜書房)において3期生メンバーが当時を振り返っているのだが、その言葉で共通しているのは2人のセンター抜擢が3期生の意識を変えるターニングポイントであったということ。与田、そして大園が先人を切って引き受けたことは3期生を良い方向へ動かしたことは紛れもない事実だ。

 大園は冠番組『乃木坂工事中』(テレビ東京系)初登場時や、グループの登竜門とされる舞台『3人のプリンシパル』の囲み取材では自信のなさから多くの涙を流し、周囲の人間が心配してしまいそうなほど、不安定なメンバーだった。ファンの側からしても「この子は本当にアイドルとしてやっていけるのだろうか」と心配の声が挙がるほどで、当時の大園は涙とは無縁では語れない。

 大園と比較しうる存在として、まず真っ先に名前が上がるのは初代センターの生駒里奈だろう。彼女もまた秋田県からひとり上京し、まだ先行きが不安定なグループの、それもAKB48のライバルという当時のコンセプトをただ一身に従えながら、センターに抜擢された自分自身と戦い、グループの基調を作ってきた。

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