■ようやく本音を見せた賀来賢人

 天沼は自分が助かることしか考えておらず、苦しむ妊婦を顧みようとしない。音羽はそんな彼を優先して世話しているように見えたが、喜多見に状況を伝える電話をかけるとき、妊婦が危険であることを天沼に気づかれないよう伝えていた。

 レスキュー隊がエレベーターのドアを開けるのを待つ間、妊婦は臍帯脱出(胎児よりもへその緒が先に出てくること)になってしまい、赤ちゃんが危険な状態に。これを知った喜多見はエレベーター内での帝王切開手術を提案するが、白金は天沼の救出を優先することを譲らない。

 そこで、喜多見は「音羽先生、どっちを優先すべきですか?」と問いかける。もだえ苦しむ妊婦と、権威を傘に早く助けろと恫喝する天沼を前に、音羽は決意を固めた表情になり、妊婦の手術を優先すると返答する。

 怒った天沼が胸ぐらをつかみ、「お前の官僚人生は終わるぞ」とスゴんでも、音羽はブレることなく、「はい。ですが人の命より大事なものなんて、この世にはないんです」とキッパリ。この言葉を聞いていた喜多見たちは笑顔を浮かべ、それぞれの作業を進めていった。

 その後、音羽と喜多見による命がけの手術と、TOKYO MERの迅速なチームワークによって赤ちゃんは一命をとりとめた。安堵した音羽が気を失って倒れるところを、喜多見に抱きとめられるのだが、それは官僚の冷たい仮面が剥がれ落ちた瞬間だったのかもしれない。

 また、術後の母子に官僚としてあいさつに行った音羽は、自分が守った小さな命を見つめながら、涙ぐんだような表情を浮かべる。そして、自身の母について、お金がなかったため満足な治療を受けられず、若くして亡くなったことを告白する。

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