■ 優しすぎる深澤がとうとう立ち上がった
深澤が恐怖心を克服した。これまでの深澤を思えば、これはとても大きな変化だ。救命医としての自信がないのが原因だが、それは深澤が丁寧な対応で慎重に患者を診てきたからであり、性格的に穏やかで優しい人柄であることもあるだろう。しかし、ナイト・ドクター制度が採用されて3ヶ月、深澤の救命医としても3ヶ月になるのに未だサポートに徹したままなのも不甲斐ないし、本人もどうにか打開したいと思っているからこそ事故現場へ志願したのだろう。それなのに、現場について怪我で倒れる作業員を前にしても及び腰で、意気込みはどこへ行ったのかともどかしく思っていたところに、美月(波瑠/30)が高所から転落する事故が起きてしまう。
ろっ骨を3本折り胸腔ドレナージを施すほどの怪我を負いながらも患者への処置を優先する姿は、深澤の胸を深くえぐったことだろう。美月が復帰早々に事故現場への出動が決まった際には、自分が行くと言ってきかない美月を一喝して現場に向かった。苦しそうに横たわる重症患者を前に、やっぱりひるんでしまう深澤に、成瀬(田中圭/36)が鼓舞する。
「お前が診ろ、いいから診ろ、何を迷う必要がある!」
患者の状態を確認させ、診断と処置方法を確認した上で全てを任せる成瀬。もう自分がやるしかなくなった深澤は、戸惑いながらも的確に着々と処置を進めていく。この時の深澤の表情が、とてもよかった。緊張で強張る表情、動揺を抑えようと何度も瞬きをしている。短く強い息を吐いて息を飲んだら、目に力が宿ったように見えた。ここからの深澤は冷静で着々と処置を進めていく救命医そのもので、胸が熱くなる。そうそう、これが見たかったんだと叫びそうになるくらいにカッコよかった。夜間の現場らしいライトを受けた深澤は、救命医としての未来を明るく照らすように見えたのも美しかった。