乃木坂46中田花奈、伊藤純奈、寺田蘭世の個人PV作品が与えた新たなアイドルのイメージの画像
※画像は『中田花奈1st写真集 好きなことだけをしていたい』より

乃木坂46「個人PVという実験場」

第21回 気鋭の映像クリエイター中島望監督が描く乃木坂46「個人PV」の世界3/3

 乃木坂46の個人PVに関わるなかで、そのつどスタイルを変えながらいくつもの顔をみせてきた中島望だが、ことにショートドラマ的な作品においては、いくらか静的で物憂げな空気の演出に冴えをみせる。

 その代表が前々週にとりあげた新内眞衣の個人PV「世界は夜回る」であった。具体的に多くを語ることなく、また決してポジティブな瞬間ではない人生の一コマを切り取り、そのなかに多くの背景を想像させる。その筆致は、乃木坂46の10枚目シングル『何度目の青空か?』に収録された中田花奈の個人PV「Re:set」でもうかがうことができる。

■中田花奈の「Re:set」

https://www.youtube.com/watch?v=Nvwhj02GyIU
(※中田花奈個人PV「Re:set」予告編)

 キャリーケースを引き海にやってきた主人公(中田)が、薄く雲が張った浜辺で思い出の品らしき写真を焼き払い、髪をほどいてペットボトルの水を被る。なにがしかの過去を清算して、「リセット」するためのいとなみが描かれた本作には台詞もナレーションもなく、彼女の詳細なバックグラウンドは見る者の解釈や想像にゆだねられている。中島が手がける個人PVのなかでも最もシンプルなスタイルといえるこの作品だが、あからさまにストーリーを提示せずに進行する静かな語り口が印象深い。

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