■ジャポニズムの背景に“近代日本経済の父”!

 では、日本の浮世絵がなぜ、ヨーロッパで「ジャポニスム」と呼ばれるまでに熱狂的なブームを引き起こしたのか。そのきっかけは実に意外なものだった。

 ヨーロッパでは当時、まず日本の陶器が注目されるようになり、輸出が盛んになった。

 当然、陶器だけに非常に割れやすく、何かで包まなければならず、その梱包材として浮世絵が使われたとされているのだ。

 むろん、それだけではブームにまではならない。

 そこには近代日本経済の父と評される渋沢栄一も関係している。

 彼は慶応三年(1867)四月一日から一一月三日まで幕府の使節の一員として、パリで開催された万国博覧会のために渡欧すると、浮世絵の絵画帳二冊、計一〇〇図を出品。現地の富裕層の目にとまり、彼らがコレクションを始めたことで、そのニーズに応えるために浮世絵を販売する商人も現れた。

 こうして日本の浮世絵は“世界のUkiyo-e”となり、そのルーツは著名な挿絵画家になることを目指した「青柿のへた」の夢にあったと言えるだろう。

●跡部蛮(あとべ・ばん)1960年、大阪府生まれ。歴史作家、歴史研究家。佛教大学大学院博士後期課程修了。戦国時代を中心に日本史の幅広い時代をテーマに著述活動、講演活動を行う。主な著作に『信長は光秀に「本能寺で家康を討て!」と命じていた』『信長、秀吉、家康「捏造された歴史」』『明智光秀は二人いた!』(いずれも双葉社)などがある。

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