■行政の対応に疑問を抱いた出来事とは?

「夫を深夜にわざわざ起こすことはない、とは思ったものの“今夜、寝ている間に私の体調が急変しないとも限らないので、念のため伝えておこう”という気持ちからLINEをしたんです。翌日、起きた夫は“マジか!”と驚いていましたね」

 その後、幸いにも体調に異変はないというA子さん。

「私は深刻な副反応が出なかったからまだよかったものの、もしも副反応が強く出ていたら、“この症状は異物混入のせいなのでは……”と、不安が膨れ上がっていたでしょう。それを思うとぞっとしますよね」

 マスコミの報道後、A子さんのもとに行政からの個別連絡などはないという。

「すでに同ロットのワクチンを打ってしまった人が、報道によると2万5000人とかなりの人数になるため、1人1人に対応していられない、ということもわかるんですけど……。今回の行政の対応には疑問を抱かずにはいられません。

 横浜市のサイトには『異物混入の疑われるモデルナ社製の当該ワクチンが横浜ハンマーヘッドで使用されました』との記載が追加されたものの、『使用にあたっては、ワクチンを容器から注射器に入れる(充填する)際に、複数の薬剤師で、異物混入等がないかを必ず確認しています。そのため、対象ロット番号のワクチンも含め、接種は異物が混入されていないことを確認したワクチンを使用しています。今後も引き続き、異物混入の有無等の異常がないことを確認の上、接種を実施します』との説明文があるだけ。

 異物混入が疑われるワクチンを接種してしまった人が、不安や異常を感じた場合に問い合わせることのできる相談窓口の案内は同じページ内にはありませんでした。それどころか『安全対策は万全だから大丈夫』と、今の段階で言い切ってしまうことに、逆に不安を感じずにはいられないのです」

 今回のワクチン接種で「行政のさまざまな側面を垣間見ることができた」と言うA子さんは「1か月後に控えた2回目の接種も受けざるを得ないんでしょうが、正直、不安はありますよね……」とも話してくれた。彼女と同じ思いをしている人が、全国にいったい何人いることだろう。早くその不安が解消される日が来ることを願う。 

 神奈川県や横浜市は、体調に異常があった場合は、窓口である神奈川県の「新型コロナワクチン副反応等相談コールセンター」045−285−0719に連絡するよう呼びかけている。

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