■生きることのリアルさが胸に突き刺さる

 桜庭が、自分がレシピエントであることを伝えた時は、切なすぎて胸が痛んだ。夕陽が差し込む医局で、ためらいながらも自分は心臓を提供してもらって生きていると話す桜庭は、とても小さく見えたし、悲しみや苦しみを抱えているのがひしひしと伝わってきた。そして、知らなかったとはいえ辛辣な言葉で八つ当たりしてきた深澤に詰め寄ったことを詫びるという人のよさが泣ける。深澤もさすがに桜庭の心の痛みや重みに衝撃を受けただろう、心美の気持ちをちゃんと聞く気持ちになれた。

 また、美月が母親がドナーになったことを告白した時は、提供する側としての率直な気持ちに胸を打たれた。

 最初は、ドナーになることを同意したことが正しかったのか分からないままに寂しさだけが残ったけれど、レシピエントから届くサンクスレターで少しずつ気持ちに変化が出てきたこと。そして、優しかった母が今もどこかで見守ってくれているような気がして寂しかった気持ちが和らいでいったことを素直に話す美月は、穏やかでとても温かい表情をしていたのが素敵だった。隣で静かに涙を流す桜庭、二人の様子を離れた場所から見守る成瀬、みんなの様子を静かに聞いている高岡。この居心地のいい空気感は、このメンバーだから出せるものだ。そして、深澤が桜庭に声を掛ける。

「ありがとな。いろいろと、その、話しずらいだろうことも話してくれて」

 これに「皆んなだから話したんだ」と明るい表情で話をする桜庭の爽やかさに目がくらみそうだった。なんていい人だろう。なんて清々しい人たちだろう。これから様々な事情で、離れる人が出てきたり、このチームではいられない日が来るかもしれない。だけど、そんな日が来なければいいのにと思ってしまう程に、ずっと見ていきたい。次回が待ち遠しい。

(文・青石 爽)

『ナイト・ドクター』は、夜間救急専門の「ナイト・ドクター」として勤務する医師たちを描いたオリジナル脚本。柏桜会あさひ海浜病院は『365日24時間、どんな患者も断らない医療』を目指し、崩壊寸前の救急医療を立て直すべく、新たな働き方として夜間救急専門のチームを設立することになり、救命に情熱を持っている朝倉美月(波瑠/30)、美月の先輩救命医で現実主義の成瀬暁人(田中圭/36)、元内科医で病気がちな妹を大切に思う深澤新(岸優太/25)、研修医上がりでムードメーカーの桜庭瞬(北村匠海/23)、仕事もプライベートも完璧な高岡幸保(岡崎紗絵/25)、技術も皮肉も一流で指導医の本郷亨(沢村一樹/53)といった、年齢も性格も価値観も全く異なる医師たちが奮闘する青春群像医療ドラマである。

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