■「民主主義を想起させるからでは」という声も

 くわえて、「暴力性」を指摘するならコンプライアンスが緩かった昭和のシリーズや、国内でもあまりに凄惨な描写から『朝日新聞』で批判投書が載ったこともある04年の『ウルトラマンネクサス』の方がえげつないという声もある。

「『ティガ』は日本と同じ96年に中国で放送されていて、向こうでも絶大な人気を誇ります。中国共産党による和製コンテンツの規制が緩和されて初めて輸入された特撮番組という土壌もありますね。

 そのため今回の騒動に反発する声も非常に多い。こうした反響を受けてなのか、一部のシーンをカットしつつも27日の時点で『ティガ』の配信が復活しました。中国では軍事教練の打ち上げで大勢の学生が中国版オープニングを歌う様子がSNSに投稿されるほどですからね。その分、知名度が高くて見せしめ的にやられたんじゃないかと考えられます」 

 またネットでは『ティガ』と中国について、「実は暴力描写うんぬんは建前ではないのか」という陰謀論めいた考察もある。

「終盤のエピソードでティガはラスボスの邪神ガタノゾーアに完敗してしまうんですが、最後まで希望を捨てなかった世界中の子どもたちの“光”で蘇り、“グリッターティガ”となって倒すんです。この描写を穿った見方をすると、民主革命を想起させるんですよね。昔、フィリピンでも似たような“ボルテスV事件”があったことも、この説に信ぴょう性を見出す人が多い要因となっていると思われます」

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