■稲垣はあまりにイメージ通りすぎる読書人生を送っていた

「また、SMAPのメンバーでは一番読書家のイメージが強く、実際に読書バラエティー『ゴロウ・デラックス』(TBS系)も担当していた稲垣吾郎(47)の場合、“館内にらせん階段があって、10歳の僕にはお城みたい”だった図書館で、ポプラ社の『怪盗ルパン』シリーズや『名探偵ホームズ』シリーズを読んだことで、1900年代初頭ヨーロッパのファッションや文化に憧れ、それがワインに興味を持ったきっかけかも、と18年に『プレジデント ウーマン』(プレジデント社)のインタビューで語っていました」(前出の専門誌記者)

 そこから赤川次郎や江戸川乱歩といった日本の推理・冒険小説も楽しみ、20代の頃には話題の本や自分が影響を受けた人の本を読むようになったという。また、

《ちょっと恋心を抱いていた年上の女性から、J・D・サリンジャーの『ライ麦畑でつかまえて』をプレゼントされたことがあって。本の扉に“すてきな大人になってね”といったメッセージが書かれていたんですよ。本自体は普通の青春もので、さほど思い入れがあるわけじゃないんですけど(笑)、「こういうのいいな」と思った記憶があります。》

 という、それこそ小説のようなロマンチックな経験もあったという。

「そんな稲垣の愛読書は、07年に映画化された、フランスのノンフィクション作品『潜水服は蝶の夢を見る』。

 脳出血で倒れて、意識はあるのに左目しか動かなくなってしまった状態で書いた自伝小説です。稲垣は最初に映画版を見て主人公の生きざまの美しさに強い衝撃を受け、《心の底から震えるような感情が湧き上がってきて。その感動を忘れたくなくて、この本を手に取りました》とインタビューで話していました」(前同)

 ちなみに、日本の作品で稲垣の愛読書の1つには直木賞受賞作としても有名な川越宗一の歴史小説『熱源』(文藝春秋)がある。

《樺太アイヌの闘いと冒険を描く前代未聞の傑作》と銘打たれており、稲垣は同書を20年2月にインスタグラムで、

《美しい作品に出会えた。凍てつく道に注ぐ一筋の光 消えることのない私達の熱源
生きていればこそ。どうか穏やかな夜をお過ごし下さい。》

 と、本の表紙と一緒に投稿していた。

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