■シリアスな世界観だけに掛け合いの楽しさが際立つ

 逆にシリアスな描写も抜かりはない。「科学の発展の果ては戦争なのか」というテーマもあり、中盤からは三国間で戦争が始まってしまい、劇中で仮面ライダーは軍事兵器として扱われたほか、第21話『ハザードは止まらない』では戦兎が戦闘中に怪人(もとは人間)を殺害してしまい廃人同然になってしまう描写は、当時ゲッソリと老け込んだ犬飼の演技も相まって、多くの視聴者にインパクトを与えた。

「本当に重くてまったく事態が好転しないことが続くシナリオ構成だったので、男子高校生のようなノリでバカをやる戦兎らの描写がより引き立っていました。敵ライダーの『エボル』についても、金尾さんの声の演技と、人間態の前川さんの演技が実にマッチしていて、唯一無二のとんでもない悪役として主役を食う活躍を見せていました。

『仮面ライダー』は1年にわたって放送されるという番組の都合上、諸事情で脚本が100%当初の予定通りに進むことはまずない。『ビルド』に至っては途中で“5話短縮される”という理由で、話を急ピッチで進めたのにそれが取りやめになったらしく、終盤に展開が間延びしている部分があります。

 しかし、それを補って余るほどにキャラクターが魅力的だったことが、ストーリーの面白さとベストマッチして、今回のランキング結果にもつながったのではないでしょうか」

 2021年9月にスタートした『リバイス』も、すでに主人公の五十一輝(前田拳太郎)や相棒の悪魔バイス(声:木村昴)を筆頭に、個性豊かなキャラクターが毎回どこか不穏な空気を醸し出しているのが、今後の展開への期待に繋がっている部分がある。

 毎年多くの魅力的なキャラクターを輩出している『仮面ライダー』。「勝利の法則」は、そこにある!

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