■「嫌われ太鳳」の風潮ともおさらばか

 本作の純粋無垢な演技に、少し前までの「嫌われ太鳳」の風潮も覆るのでは、という声もある。

 土屋は昨年12月22日発売の『週刊女性』(主婦と生活社)で恒例企画「女が嫌いな女ランキング2020冬」で、前回17位だったのが4位にランクアップしてしまったのは記憶に新しい。

「本人には悪気はないでしょうが、バラエティ番組などで反感を買いやすい行動をしたり、10月29日号の『女性セブン』(小学館)で俳優・桜田通(29)と単なるボディランゲージの感覚でハグをしたのを筆頭に、17年の『8年越しの花嫁 奇跡の実話』では佐藤健(32)、『兄に愛されすぎて困ってます』では片寄涼太(27)などなど、ここ数年、“恋愛映画=イケメン×土屋太鳳”という作品が多いうえ、毎回共演者との距離感が近い、ということも影響していたものと思われます」

 そんな「嫌われ」イメージのあった土屋だったが、今年2月に映画『哀愁しんでれら』では、さらにその印象を加速させるような、ふつうの主婦が世間を震撼させたとんでもない凶悪大量児童殺人犯に変貌していく様を演じたことで、より「悪女」のイメージに拍車をかけていた。

「しかし、『アイの歌声を聴かせて』で、大きく風向きが変わりましたね。

 ちなみに本人のインスタグラムによると、神奈川県の『川崎チネチッタ』では“アイの歌声が良く聴こえるかも音”という特別音響調整版が上映されていますが、土屋さんもマネジャーとこっそりお忍びで鑑賞していたようです。観客が“指揮者が見えるような音楽”と話していたのが聞こえていたらしく、《息づかいを感じる音楽に私も思わずミュージカル『ローマの休日』のオーケストラピットを思い出して、感謝と尊敬と懐かしさで心がいっぱいになりました》とコメントしていました」

 10月29日に行われた初日舞台挨拶では、土屋がかねてから「合唱曲にしたい」と熱望していた「ユー・ニード・ア・フレンド あなたには友達が要る」を物語のモデルとなった高校の生徒たちが合唱する動画が上映され、生徒の代表が土屋に直接花束を手渡すサプライズもあって、土屋は号泣。

「心にグサッと刺さりました。シオンは明るく元気な女の子だけれど、時折ハッとする切なさがある。AIと人の壁を超える物語を通して、思い合うことを末永く感じてほしい」

 と、声を詰まらせながら語っている。

 過去には、世界的歌手のSiaとのコラボMVを発表している土屋。あらたに世界的なオファーが届くかもしれないーー。

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