長谷川雅紀と渡辺隆が結成した漫才コンビ錦鯉。『M-1グランプリ2020』史上最年長ファイナリストとして大ブレイクし、今年11月17日に新潮社より発売された『くすぶり中年の逆襲』で念願の書籍デビューも達成。そんな錦鯉が今年の『M-1グランプリ2021』の決勝を前に、これまでと今後の人生について深く語ってくれた。
(第4回/全4回)
長谷川「本当に不思議というか。僕は“いままで食べたラーメンでどれが一番美味かった”って言われたら中学校の塾帰りに先生に奢ってもらったラーメンが一番おいしいんですよ。
そのラーメンが、僕はみそが好きなんですけど醤油で、すり鉢の小さいのがついてて。自分でゴマを擦ってかけるラーメンで。それがやたらおいしくて、それを超えてないんですよね」
渡辺「そのラーメン屋はもうないの?」
長谷川「いや、分からない。札幌の塾帰りに食べたラーメンで……。たぶん、そんなにおいしくないと思うんですよ。本当は。
でも、それが忘れられないんですよね。ゴマの風味というか……」
――それも、「塾の先生に奢ってもらった」が関係してる?
長谷川「塾の先生に奢ってもらった嬉しさとか、僕だけ特別じゃないけど、そういうのはあったと思いますね」
――その時は、長谷川さん1人だけ?
長谷川「そうですね。塾の先生も、何か先生っぽくないんですよね。“明日も日曜日”みたいな。つまり、ずっと休み……」
――塾の先生としては珍しいですね。
長谷川「そうですそうです。太ってて、黒メガネで、ヒゲで、髪もザンバラで……」
渡辺「何教えてたの?」
長谷川「数学かな。なんか内気な感じで。でも、おいしかったですね。何だったんだろうなあ」
――というか塾に通っていたんですね。
長谷川「中3のころに最初で最後ですね。受験の時に行ったんですよ」
渡辺「勉強分かった?」
長谷川「わかんなかったけど、数学の問題が解けたときは面白かったですね。パズル解く感じで。」
――さすがに、塾の先生からは『M-1』以降には連絡なかったですか?
長谷川「なかったですね。覚えてないんじゃないですかね?ビジュアルも変わったので……ビックリしますもんね。昔、お笑いライブを見に来た高校生の女の子がいて、(最近)テレビで見ても僕だと分からなくて。その高校生だった子が、いまや二児の母ですよ。そういうのを聞くと歴史を感じるというか」