■MLB移籍を決断した“二刀流”

 その後、MLB移籍を決断した大谷には“二刀流”という前例なき挑戦を前にして、賛否両論が噴出。

 手術からの完全復活を期した今季開幕前の時点では、ファンはもちろん、識者の大多数も、その成功には懐疑的な見方を示していた。

「当初から肯定的だったのは“200勝、2000安打のどちらかなんて言わず、両方達成して名球会に来ればいい”と公言していた王貞治さんや、“無理だと言うこと自体がおかしい”とした松井秀喜らひと握り。だからこそ、MLB初解禁の“リアル二刀流”で先制弾も放った4月4日のホワイトソックス戦は、本人としても相当、期するものがあったはずですよ」(同)

 ちなみに、そんな今季の大谷の活躍は、省エネ投球を可能にした新球カットボールを抜きには語れない。

「被打率0割6分7厘という圧倒的な威力を誇る“打たれない魔球”スプリットはもちろん、そこに“打たせる”カットボールが加わったことで、投球の幅が格段に広がった。かねて指摘される打者としてのバレルゾーン率(長打になりやすい速度と角度を組み合わせた打球を飛ばす確率)の高さもそうですが、“リアル二刀流”を念頭に置いた彼の進化は、ここにとどまらないでしょう」(前出のデスク)

 そんな大活躍した今年だけに、年末の『紅白歌合戦』への出演が期待される。NHKとしても、日本ハム時代に審査員経験のある国民的スター・大谷には、是が非でも“凱旋”してほしいところだろう。

「MVPの発表直後も、ふだん通り筋トレをしていたという彼だけあって、当時も出演に当たっては“トレーニングルームを用意してくれるなら”と異例の条件がつけられたとか。いわく、今季の成績も彼にとっては、あくまで“これからの基準”。過去の取材でも、“フィジカルに技術がマッチしてくるのは30歳から35歳”と発言するなど、かなり長期的な視野に立った計画が、すでにある。彼の意識の高さには感服します」(前同)

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