■なぜここまで酷評されているのか?

 そうした期待を集めた『大怪獣』だったが、いざ公開されると、ツイッターを中心にSNSで酷評の嵐が吹き荒れる事態に。複数のネットニュースに取り上げられるほどだったが、そこまでひどい映画だったのだろうか?

「作品の評価以前の問題として、そもそもこの映画はPRのやり方を完全にミスっていると感じました。予告やあらすじではいかにも"怪獣映画"とか"社会風刺ありの政治ドラマ"といった雰囲気を出していますが、これは完全にコメディ映画です。

『シン・ゴジラ』みたいなものを期待して足を運んだら、まずはそのギャップで苦しむことになると思います」

 そう話すのは、実際に『大怪獣のあとしまつ』を映画館で鑑賞してきた特撮ライターのトシ氏だ。

 詳細な内容は伏せるが、『あとしまつ』には『シン・ゴジラ』を茶化したような場面もあるほか、全体的に政治家のやり取りは、役者の演技的にも完全にギャグに振り切っているという。

「特撮技術や主演の山田さんはもちろん、総理大臣を演じる西田敏行さん(74)の相変わらずとぼけたような独特な演技、露骨に蓮舫議員に寄せたビジュアルの政治家のふせえりさん(59)などなど、役者陣の演技は素晴らしいんですが、怪獣映画を楽しみにしてきた人に、は致命的に食い合わせが悪かったですね。……。それを差し引いても、政治家たちの駆け引きが完全なギャグであるうえ、終始スベリ倒している感は拭えませんでしたが……」(トシ氏=以下同)

『シン・ゴジラ』も、聞いていてフラストレーションのたまる政治家同士のやり取りなどが描かれていたが、同作は違うという。

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