■『シン・ゴジラ』が削った要素を拾いまくった結果

「完全にコントでした。しかも、みんながみんな足を引っ張りまくっていて、話が全く前に進まない。架空の国にしてお茶を濁してますが“何かと騒がしい隣国”が出てきているし、パンフレットのコメントからも現実の政治のグダグダぶりを風刺をしていたのは伝わりましたが、それにしたってなぁという感じです」

 本作の脚本監督を務めた三木聡氏はパンフレットにて、

「(原発やコロナ禍について)現実の世界で“それはないだろう”というグダグダが映画を越えていくのを僕らはリアルに見てきたわけで、その機運みたいなのは脚本にも投影しました。もともと僕の映画は時代の機運を反映している部分がありますから」

 と、コメントしている。

「今回の不満点のほとんどは、『シン・ゴジラ』が意図的に削っていた要素を拾い上げた挙句に、うまく調理できていなかったことにあると思われます。恋愛ドラマやギャグが多くても、うまく調理できれば傑作になった可能性もあるだけに残念でした。

 くわえて、クライマックスの展開が『シン・ゴジラ』や『ウルトラマン』を愚弄してるんじゃないか、と憤慨する人の気持ちもわかります。

 ただ、こういった不評について土屋さんのお母さんが深い考察をしていました」

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