■「50歳以上の視聴者も大事にする」方針のテレ朝だが……

 1月4日、テレビ朝日の早河洋会長(78)は年頭挨拶で、コア視聴率が弱い自局について「編成が強化に取り組んでおり、番組改編のたびに改善されてきています」と説明。

 そのうえで「そもそも収益性や営業効率でいうなら、視聴率もさることながら、広告収入の売上高で語られるべきであり、その点では、テレビ朝日は今年度上期タイム、スポットとも2位の成績をあげており、スポットも5年連続2位ですので、営業現場は胸を張っていいと思います」と語った。

 一方で、「少子高齢化が急速に進む今こそ、50歳以上のボリュームゾーンにも目を向ける必要があるのではないか」とし「49歳以下の視聴者も50歳以上の視聴者もともに大事にする、ターゲットのハイブリッド戦略を展開していきたいと考えるに至りました」ともコメントした。

 早河会長は広告収入も上々だと語ったものの、2021年上期の日本テレビの放送広告収入は1170.5億円、テレビ朝日は860.7億円と実に300億円以上も差をつけられている。

「スポンサー企業は今、世帯視聴率ではなくコア視聴率を重視していることがうかがえますよね。早河会長も腹の中ではその点を重々理解していて、変えていく必要があると思っているのではないでしょうか」(前出の制作会社ディレクター)

 テレビ朝日は若手クリエーターの発掘、育成を目的としてスタートした深夜のバラエティゾーン「バラバラ大作戦」を発展・進化させる「スーパーバラバラ大作戦」を編成するとも表明している。

「これも若者向けのバラエティ番組を強化するためでしょう。『スーパーバラバラ大作戦』から大ヒットが期待できる番組が出てきたらプライムやゴールデンに昇格させたいという狙いが見えます。

 やはり世帯視聴率だけではお金にならないということですよね。『ザワつく!』も世帯視聴率は高いですが、コア視聴率が高い日本テレビの番組に、広告収入面では負けていそうですね。今のコア偏重の構造ではこういった番組はお金にならない。だからこそ、民放各局はコア視聴率が取れる番組作りに躍起になっているわけです」(前同)

 コア視聴率重視の風潮で、シニア層に大人気の『ザワつく!』も“絶対安泰”というわけではない!?

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