■国産品でもブランド力に差が生じると偽装が!

 一方、同じ国産品でも、ブランド力に差が生じる場合は偽装が起きるという。その代表例がブランド米。いまだに関係者の間で語り草になっているのが、一昨年の新米の季節に発覚した『仁井田米』の偽装事件だ。

「仁井田米は高知県四万十町窪川地域のコメの総称で、昼夜の寒暖差を生かした栽培で、凝縮されたうま味で、全国コンテストでも上位に入賞しています。だが、取引先との契約に対し、収穫量が足りず、JAの職員も関与して、別の品種や産地で補おうとして偽装を行ったんです」(農協関係者)

 コメのブランド力は、加工食品でも悪用されている。表示には『あきたこまち米使用純米クッキー』、もしくは『コシヒカリ純米クッキー』とあるのに、米粉は原材料全体の0.004%しかないクッキーの販売も発覚している。

「東京都の菓子卸売会社による偽装で、主な原料は小麦粉だったんです。純米と表示されていたら、誰だって、米粉で作られたクッキーだと思います。しかも、ブランド米で釣ろうとする魂胆が見え見えだけにタチが悪いですね」(前出の業界紙記者)

 ブランドといえば、牛肉もトラブルが多発している。

「通信販売など焼肉セットで、〈ランクA4以上の高級黒毛和牛国内産のA4黒毛和牛のみを使用しました〉などと表示しながら、実はランク外の牛肉だったという偽装は日常茶飯事。牛肉には、より巧妙な偽装手口が報告されています」(市場関係者)

 その手口は、ブランドに目がくらみがちな消費者の盲点をついたものだった。

「福岡市の食肉卸会社が、『宮崎牛ホルモン』と称して販売していたんですが、そもそも『宮崎牛』というブランドは正肉につけられたもの。つまり、牛の内臓であるホルモンに『宮崎牛』という銘柄は存在しないんです」(前同)

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