■塩やシャインマスカットも!

 消費者に誤解させる偽装は、まだまだある。調味料である“食塩”にも、その魔の手が及んでいる。

「調味料を手がける会社が、“完全天日塩”と称して販売した食塩ですが、実際には、外国産の塩を沖縄の海水に溶かしてから、釜で乾燥させたものだったんです。天日塩というのは、海水を太陽熱と風力によって自然乾燥して、結晶化させる製法なので、似て非なるものでした」(生活情報番組ディレクター)

 農林水産省の研究組織である『農業・食品産業技術総合研究機構』が30年以上にわたる品種改良の末に開発したブドウには、産地偽装以上の危険が潜んでいる。

「高級ブドウのシャインマスカットですが、20年まで国外持出禁止品種でなかったため、中国市場へ流出。今では『香印翡翠』などの名前で売られており、海外市場において、日本ブランドとしての市場価値が下がっています」(農林水産省関係者)

 産地偽装には少なからず、業者にもリスクがある。それにもかかわらず、なぜ産地偽装は起こるのか。安田氏が解説する。

「アサリのみならず、水産物の産地偽装では、沿岸漁業における水産資源の枯渇という問題があります。その原因の一つは、沿岸部の埋め立てや、河口堰・ダム建設などで生態系を壊してきたことにあります」

 産地偽装の闇は深い。

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