■泣かない女が涙を流すときに生まれる感情とは

 純は、泣かない女だ。親友の響子(西野七瀬/27)、アリサ(飯豊まりえ/24)と3人で恋愛映画を見て号泣することはあっても、自分の感情を露わにして泣くことは決してない。高校時代に所属していたラクロス部の卒業試合でボロ負けしても、仕事でミスをした直属の部下が会議の場で泣きそうになったときも冷静で、高校時代に憧れていた坂入(古川雄大/34)に、結婚すると報告されても泣くことはなかった。

 坂入への好きな気持ちは高校時代からなので、10年ぐらいになるだろうか。ほのかな恋心だったが、特別な想いがあったことは事実で、自分とは真逆の“泣ける女性”であり直属の部下と恋愛をして結婚するというのだ。しかも二次会の幹事をお願いされ、余興で興味のない合コンネタで場を盛り上げるなんて、心はギリギリだっただろう。気づけば『サリュー』の店先に歩いて来ていたなんて、偶然なんかじゃない。極限のつらい感情を崩さずに保ってたどり着いたのは、長峰のところだったのだ。

 そして長峰の姿が見えたところで流れた曲『わたし』(SixTONES)は、純の感情に切ない歌詞が乗った名シーンだ。

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