■心の奥をえぐり奪っていく『わたし』の破壊力

 歌い出しは長峰を演じる松村北斗だが、細くてしなやかな線を引くような美しい歌声だ。愛しくて苦しくてどうしようもない悲しみを含んでいる柔らかい歌声が、あまりに切なくて涙が出てしまう。そして、長峰のことを考えてしまうのだ。

 これまでどんな恋愛をしてきたのだろう。女性の味方みたいに誰にでも笑顔を向けて、髪がきれいだと褒めたり、泣いている背中を力強く抱いた後も、夜を共にした翌朝も、どこか寂しそうに見えてしまう。あたたかい布団の中で、優しく髪を撫でながら抱きしめてほしいのは、長峰、あなたではないか。こうしてまた女性は落ちていくのだろう、感情はリアルだ。

 次話は、長峰と純のお試し恋愛が始まるようなので楽しみに待ちたい。(文・青石 爽)

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