「“わざわざ男性社会に女がくるなよ”って言われたり」男社会で戦う岩岡万梨恵にミノワマンが贈ったアドバイスとは?【リアルプロレスラー・ミノワマン×ドライバー・岩岡万梨恵の“異種勝負師”対談】(2)の画像
ドライバー・岩岡万梨恵とリアルプロレスラー・ミノワマン

 レスラーとしては小柄ながら果敢に無差別級でヘビー級選手と戦い『リアルプロレスラー』の異名を持つ総合格闘技家のミノワマン。

 男社会であるモータースポーツで勝ち抜くべく、レースの世界で最高峰の『ル・マン』を目指す岩岡万梨恵。

 勝負の世界に生きる2人が通じ合うものとはー-。

(第2回/全4回)

―ミノワマンさんといえば、やはり歴史的な一戦、ミルコ・クロコップとの試合(※注)

がありますが、あれが大きな転換になりましたか?

(※注 2006年5月5日のPRIDE無差別級グランプリ。両者入場前の煽りVTRは格闘技史上最高の完成度として評価するファンも多い。結果は1R1分10秒、レフェリーストップでミルコの勝利)

ミノワマン「なった、といえばなりましたね。やっぱり相手にずっと心をつかまれているような感じでした」

岩岡「どっちの意味ですか? 相手のペース?」

ミノワマン「相手のペースに捕まっている感じがしました」

―あの当時のミルコは圧倒的な強さがあり、世界の壁のようなものを感じました。

ミノワマン「そうですね」

―似たような経験は岩岡選手にもありますか?

岩岡選手「私も海外のアジアン・ルマンって大会に出たんですけど、それまでマツダさんの『ロードスター』って車でレースに参戦していて、それが一気にレベルアップした『LMP3』(「ル・マン」プロトタイプ)ってレーシングカーに乗りました。リア駆動リアエンジンの車が初めてだったので、いつも通り走るとすぐにスピンしちゃったり。

 まず、かかるGもすごいですし、ストレートの260キロとかの速度はすぐに慣れるんですけど、ブレーキングしてターンインするときにかかるGが、本当に今まで感じたことのないGで。

 1時間半ドライブさせてもらったんですけど、初めてレース中に腕が上がらなくなっちゃって。そこでタイム的にも3戦出て、やっと3戦目で近づいてきたかな、でもまだ2秒くらいトップと差があるな、みたいな感じで。乗っていけば体力も尽くし、腕が上がらなくなることはなくなりましたが、

 そこで、厳しさというか悔しさと難しさを感じたのと、もっと経験を積まなきゃな、と思いました」

―アジアン・ル。マンですか。「ル・マン」の派生レースでしょうか。

岩岡「そのなかでチャンピオンが取れれば、ル・マンにも行ける。本当に直下のレースみたいなものです。運営元は一緒なので同じ系列というか、つながっているところはありますね」

―ル・マンの何が特別なのか教えてください。

岩岡「私がレースにはまったのは『インディカー』っていうアメリカのレースだったんですけど、そこで初めて女性ドライバーが、アメリカ人でいるのを知って。それでレースをやりたいと思ったので、最初はインディに乗りたいってことから始まりました。

 それからレースをしていくうちに、『スーパー耐久』っていう耐久レースに参戦させていただく機会があって。そこで、私がインディカーに目覚めた魅力が、最後の最後でセーフティカーが入ったことによりレースがどんでん返しに今までトップを走っていても、違う人が優勝するとか、最後まで分からないのが本当に面白くて。

 それが、耐久レースと通じるものがあって。『スプリント』みたいに13周とかで終わるやつって、最後まで何があるかわからないけど、予選通りだったりするんですよ。

 でも『耐久』は車が壊れちゃったりとか、ドライバーがミスっちゃったとか、本当に最後まで分からないのが面白くて、そこになったとき、私のもともとの先生、井原慶子さんっていうんですけど、その人がル・マンとか『WEC』とかのシリーズを追っていて、その人の下で教わった、というのもあったので私もそこに行きたくて、目標の1つにしています」

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