■純の心を動かした長峰の奥行き

 純は、仕事では製造の過程や商品の品質を熟考した上で、新しい商品のデザインを起こすといったプロセスを大事にするのに、恋愛においては出来上がりの形ばかり追い求めている。相手を知りたいという感情に欠けてしまい、異性と体を重ねる意味を軽くも重くも捉えてしまうのだ。

 そんな純を、長峰はふんわり包んで先回りしてくれる。純をデートに誘い、吹きガラスの体験に連れていくのだが、意外なことに下見として事前に体験していたというではないか。これには、さすがの純も喜びを感じたことだろう。

 新商品のアイデアにガラスを使ったデザインにしたことは、純の心が長峰を受け入れたことの象徴に見えた。白い陶器は自分、ガラスという新しい素材は長峰。白い陶器をどう見せるかではなく、新しい素材を取り入れたデザインを起こしたことは、仕事を大事に思い、優先してきた純にとって大きな変化と言えるだろう。

 純が恋をすることに前向きになったところで、周辺もざわついてきた。親友の響子(西野七瀬/27)は、結婚して安定した生活を手に入れているけれど、夫にないがしろにされて寂しさで押しつぶされそうだし、アリサ(飯豊まりえ/24)はつきあっている不倫相手が自分以外にも親しい女性がいることに、腹を立て虚しさを感じていた。

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