木村拓哉(49)主演のドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)は、生きることに希望を失ったひとりの男が母校のボクシング部コーチになることで情熱を蘇らせ、人生を再生させていく青春スポーツドラマだ。8話では、ボクシングを諦めきれない西条(村上虹郎/25)に、葛藤を乗り越えて生きる希望を持ってほしいと願う人たちの、想いの深さと優しさに泣けた。
■西条の挫折に寄り添う桐沢の説得力
西条は、脳に動脈瘤があることが発覚し、医師からボクシングを断念するよう宣告されてしまう。医師から診断を聞いたとき、西条から最初に出た言葉は「ボクシングはできますか」だった。いかにボクシングが大事なのかが、伝わってくる。
ボクシング部をやめると言った西条だったが、こっそりボクシング部を覗きに来ていたのに気づいた桐沢(木村拓哉)が後を追いかけ、呼び止める。桐沢に泣きながら伝えたのは、「ボクシング部に戻りたいです」だった。このひと言を伝えるまで、どれぐらい苦しみ葛藤しただろう。
そして、ボクシングを諦められない気持ちが痛いほど伝わったのだろう、桐沢は自分の挫折について話し始めるのだが、これほど説得力のある話があるだろうか。3話でボクシング部員の水野(山田杏奈/21)の父親と不幸対決をしたときも自分の挫折を列挙していたが、ここにきて桐沢の挫折が、さらに強いものとなって活かされているのがすごい。