■ボクシング部を支える伊庭の圧倒的な存在

 西条が、本心ではボクシングがやりたいことを見て知った伊庭(高橋海人/22)が、帰宅途中の西条を待ち伏せ、テイクアウトした2人分のハンバーガーを一緒にたべようと誘うのがとても爽やかだった。西条がボクシング部に入部する前のできごととして、4話で繰り広げられた『リングの中心で愛を叫ぶ』の話をして、西条の心をほぐしたのがいい。

 自分の恥ずかしくも大胆な失恋を笑い話にする伊庭の優しさが胸にしみるし、あの世紀の大告白がこんな形でのちに効いてくるとは思いもしなかった。西条の気持ちを和ませたことで、伊庭は本題に入る。「やるんだったらちゃんと続けろよ。やめて帰宅部とかダメだぞ」問い詰めるでもなく、自分の気持ちに素直になって貫いてほしいと伝えているのだ。

 自分を心配してくれる伊庭がいることで、チームメイトの存在やボクシングを愛する者同士の熱い想いを感じただろう。夕方の穏やかで少し冷えた空気が2人を包み、苦しみや激しい感情が収まって流れていくような、気持ちのいい風景だった。

 日は落ちたら昇るものだ、西条の気持ちもボクシング部も、きっとうまくいくだろうと、希望を感じられたとても良いシーンだった。

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