■丸谷の魅力を引き出すモノローグ

 丸谷のかわいさを表現するのに、モノローグを多用することで性格的なかわいらしさを表現しているのだが、これがとても効果的に使われている。モノローグとは、台本では台詞として書かれているが、映像では考えていることを心の声として吐露することに使われる技法だ。

 モノローグが多用されると心情が語られるため、芝居や台詞の掛け合いを楽しむことが少なくなってしまうことがある。しかし丸谷の場合は、ただ容姿が美しく愛嬌があるだけではない、ひとりの人間としての葛藤や感情的な部分を表現することに、とても上手に使われている。

 実際、会社の前で恋人になった和泉を「和泉ちゃん」とうっかり呼びそうになってニヤけてしまうのを堪えたり、社内事情で混乱をきたすことがあれば、少々、けわしい表情で状況を分析したり自分に喝を入れていたりする。喜怒哀楽がしっかりあって、何事にも誠実で優しくあろうとする丸谷の人柄が表現されているのだ。

 成績優秀な営業マンで、かわいいを武器に生きている丸谷という人物が嫌味にならないのは、モノローグを多彩に演じる山田涼介の魅力だと言えるだろう。

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