■M-1グランプリで優勝して人生大逆転

 07年12月23日、サンドウィッチマンは敗者復活戦から勝ち上がり、『M-1グランプリ』(テレビ朝日系)で優勝。審査委員長の島田紳助は、「敗者復活組の優勝があるとしたら、圧倒的な力を見せつけなければならない。しかし、彼らは本当に圧倒的だった」とコメントを残した。

「彼らのネタは、同業のレジェンド芸人も最大の評価をしています。松本人志は『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)で、テレビでネタを見ると思わずチャンネルを止める芸人として、その名を挙げて、ビートたけしは、放送200回記念で出演した『人生最高レストラン』(TBS系)で、彼らのネタを“自分が若い頃、目指してたのはアレだったな”と評しました」(前同)

 その圧倒的な技術を、西条氏はこう解説する。

「彼らはもともとコント芸人なので、漫才の中にコントが入る、いわゆる“漫才コント”スタイル。中でも斬新だったのが、役を1回降りて、現実の自分としてツッコむのではなく、コント中の人物のままツッコむというスタイル。これだと、客がコントに入り込んだままで、連続して笑いを生み出すことができるんです」

 M-1優勝をきっかけに、テレビ出演が急増したサンドウィッチマン。慣れない収録スタジオで困惑する彼らにアドバイスを送ったのが、先輩芸人のくりぃむしちゅーの2人だった。

上田晋也は“おまえら、MCに振られたら全部面白いコメントを返そうって思ってるだろ? 普通の言葉でいいんだよ。それを周りが面白くしてくれるから”と、有田哲平は“ネタが面白いのは十分に分かってる。テレビでこの先もやるなら、司会にも挑戦したらいい”とエールを送ったといいます」(前出の民放関係者)

 自分たちの長所を踏まえつつ、テレビでの振る舞いを身につけていった2人。

「当初は不安定さもありましたが、フリートークの中でも、場合によってボケとツッコミが逆転するなど、元からの関係性を生かすような器用さも見られるようになりました」(西条氏)

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