木村拓哉『未来への10カウント』で示した俳優としての「キムタク力」『BG』『教場』に続けての“農業ドラマ”が刺さるワケの画像
※画像はテレビ朝日『未来への10カウント』公式ホームページより

 木村拓哉(49)主演のドラマ『未来への10カウント』(テレビ朝日系)は、生きることに希望を失った1人の男が母校のボクシング部コーチになることで情熱を蘇らせ人生を再生させていく青春スポーツドラマだ。6月9日放送の最終回は、視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が13.1%(世帯)、7.5%(個人)と番組最高を更新し、Twitterのトレンドは日本と世界でともに1位を取るなど有終の美を飾った。

■全力で生きようと歯を食いしばる桐沢がカッコいい

 桐沢(木村拓哉)は、ボクシング部のコーチを続けることと焼鳥店を再開させることの両方で成功しようと、決意をした。とはいえ、無理がたたって部活の練習中にリングの上で倒れてしまう。これまでの苦境をカウントダウンで切り取って見せてくるのが、いかにも桐沢らしかった。

 最初の挫折である網膜剥離でボクシングを諦めたこと、最愛の妻が病に倒れたこと、焼鳥屋を新型コロナの影響で閉店したこと、親友・甲斐(安田顕/48)の奮起を促す叱咤や、ボクシング部のコーチになってから出会った人たちの声。レフリーの10カウント目がコールされる前に目が覚めて、最初に抱いた感情は、今の自分をめいいっぱい生きたいということだった。

 ボクシング部の生徒たちと出会えたことで、疲労困憊の今が最高に楽しいと思っているなんて、最高にカッコいいではないか。桐沢は、もう生きる希望を持って人生を楽しもうとする強さを身に付けた男になっていた。

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