■桐沢と出会い変わった人たち

 桐沢に関係する人物にも変化があった。校長の大場(内田有紀/46)は、桐沢を理解することで、父親に長年、抱いていた嫉妬の気持ちを素直に話してわだかまりを解くことができた。ボクシング部の生徒たちは、それぞれが強くたくましく成長して、約束だった『京明高校に勝ってインターハイ出場』を叶えた。部長だった伊庭(髙橋海人/22)も、有言実行で東大に合格した。桐沢が出会って変化した人物たちすべてが、桐沢によっていい方向に変化したのは、桐沢が持っている強いパワーがあったからだ。

 そして、一番の変化は折原(満島ひかり/36)だろう。当初、ボクシング部の顧問を押し付けられ、勘弁してほしいと思っていたが、桐沢に出会ってボクシングの魅力に目覚めた。また、桐沢の人柄に触れることで、ひとりの男性として好意を抱き、酔った勢いとはいえ求婚するなど大胆なこともしてしまうほどに想いが高まっていた。

 ただ、桐沢にとっても、折原がいたことで人生が再生したことも事実で、パートナーとして答えを出したのも桐沢らしくてカッコよかった。二人の左手の薬指に光る指輪は、一緒に未来を生きていく証であり、とてもまぶしく映っていた。唯一、関係に変化がないのは親友の甲斐だ。桐沢の高校時代の栄光から数々の挫折を見てきた男には、これからも桐沢を励ますいい関係のままでいてほしい。

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