■伸びしろしかない俳優・高橋海人の今後

 高橋海人は、東大合格を叶えた高校生を二度も演じた稀な俳優だが、次に見せてくれるのはいよいよ社会人だ。映画『アキラとあきら』で大企業の若社長を演じることが発表されている。原作は池井戸潤氏、面白さは間違いない。劇場を大いに盛り上げてほしい。

 今後もさまざまな役に挑戦するだろう。高橋海人自身が持っている、優しさや温かさを生かしたような役がもっと見たい。たとえば、自分を犠牲にしても誰かのために献身的に働く人物だ。家族や生きることの大切さや厳しさを大きな愛で包むような、人情味あふれる役で泣かせてほしい。

 また、これまで明るくて爽やかな役を演じてきたので、真逆に生きる姿も見てみたい。つらい過去を背負っていて、暗い夜道を歩いているような日々を過ごしている人。ただ、心は素朴で優しいから、無銭なのに野良猫に餌を与えていたり、道端の花をしゃがんで見つめて寂しく笑っているような、ちょっと泣ける男だったらなおいい。自分ではない違う男の人生を大いに演じてほしい。

 俳優としての伸びしろは無限大、成長し続ける姿をこれからも見ていきたい。(文・青石 爽)

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