■イカスミパスタやサトウキビ畑の説明も“後出し”

『ちむどんどん』総集編での“改変”は、第11週「ポークとたまごと男と女」以外にも複数ある。

 第10週「あの日、イカスミジューシー」、6月17日放送の第50話では、勤務先のレストラン「アッラ・フォンターナ」の新メニューとして暢子がイカスミパスタを作った。暢子は「これが、うちが考えたフォンターナの新しい看板メニュー、イカスミパスタです。妹が好きなイカスミジューシーがヒントになりました」と、話していた。まるで、沖縄料理のイカスミジューシー(=イカ墨を使った炊き込みご飯、水分が多い雑炊に近い場合はボロボロジューシーと言うこともある)をヒントにイカスミパスタを開発したかのような口ぶりだったが……。

 原田美枝子(63)演じるレストランのオーナー・大城房子と、高嶋政伸(55)演じる料理長の二ツ橋はイタリア料理のイカスミパスタは知らないかのような態度で、暢子の自由な発想を褒めていた。

 一方、翌日6月18日放送の総集編では当該シーンに「イカスミは見た目がちょっとという理由からフォンターナでは出していませんでしたが…」というジョン・カビラのナレーションが付け足されていた。

 そして、6月22、23日に渡って放送された「特別編」でも、やはり後出しの情報があったのだ。特別編と銘打たれているものの、主に第1週「シークヮーサーの少女」と第2週「別れの沖縄そば」の総集編として構成されていて、ジョン・カビラではなく黒島によるナレーションで進行していた。

 23日に放送された後編では、大森南朋(50)演じる暢子らきょうだいの父・賢三が急死、葬式後に親族で話し合いがもたれて、サトウキビ畑を売って借金の返済に充てたことが黒島によるナレーションで説明された。

 一方で本放送の6話ではサトウキビ畑の説明はなく、仲間由紀恵(42)演じる母・優子が家計を心配する親族たちに「家は手放したくない」と食い下がり、工事現場で働きはじめたことが描かれていた。

「イカスミパスタの件や、特別編でのサトウキビ畑を売った説明の付け足しは、朝ドラ本編の15分で描き切れなかったところを補足する面がありますよね。撮影した映像の編集を繰り返し、全国に流れた放送を見たときに“視聴者への説明が足りなかったかもしれない”と思った部分を土曜日の総集編で補足しよう、と修正している可能性は大いにあります。

 ただ一方、視聴者からの疑問の声やツッコミが入っていることに対して“言い訳”に追われているという感もやはりありますよね。視聴者からは“家の借金はどうなったのか”という声は出ていましたし、特にイカスミパスタの方は、“伝統のイタリア料理なのになぜシェフたちが知らなのか”“なぜ暢子が発明したことになっている”といった猛ツッコミが入っていましたからね」(前出のドラマライター板橋氏)

 放送のたびにツッコミが入る異例の朝ドラ『ちむどんどん』は、放送の裏側でも異例のことが行なわれているのかもしれない。今後数週間にわたって暢子、和彦、愛、智らの恋愛模様が描かれることがわかっている同ドラマ。ドキドキする恋愛劇が描かれるのか、それともまたもや視聴者がヒートアップする波瀾の展開が待っているのか――ハラハラしながら見守るのも、『ちむどんどん』のひとつの楽しみ方なのだろう。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5