■城の成長を見せてくれた神宮寺勇太の魅力

 城は、効率重視の完全デジタル化を推進すべく奮闘するのだが、当の本人はなんとも人間らしくてほほ笑ましい。

 ランチにカレーを食べてしまい匂いが強いからと表に立たせてもらえず落ち込んだり、完全デジタル化によって仕事を失う人がいることを知って衝撃を受けたり……。社内の不正を見つけた熊本(美山加恋/25)が取引先に事実を伝え問題になったエピソードでは、不正を暴いたことを非難し見下した態度を取った隣の部署の上司的立場の男性社員に、真っ向から異議を申し立てたのが立派だった。

 そして生活感という意味では、自宅での過ごし方だろう。会社では背筋を伸ばしてバリバリ仕事をしていても、自宅に帰ればただのかわいらしい人なのだ。前髪をターコイズブルーの洗濯ばさみでクリップし、ぬいぐるみの“ちくわ”に悩みを話し、愚痴を言い、大好物のプリンを食べて癒されている姿はギャップでしかないだろう。

 そして、翌日には自分の至らなかった部分を謝り、反省したことを伝える素直さがある。同僚の好きな女性と話すときは初々しさに溢れていて、ついつい仕事の話になってしまい帰宅後にへこんでいたりと、最終話の最後まで城というキャラクターを魅力的な人物として演じていた神宮寺勇太の魅力そのものが、存分に生かされていた。

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