■山下達郎や桑田佳祐、奥田民生も招待された光進丸
「中学生でカヌーを作って以来、10隻以上の船の設計を手掛けており、その集大成こそ、全長30メートルを超える“光進丸”でした。65年の映画『海の若大将』には初代の光進丸が登場。78年には『光進丸』という曲をリリースするほど、まさに我が子のように大切にしてました」(前出の城下氏)
多くの芸能人、音楽家も光進丸に招待された。
「山下達郎、松本隆、桑田佳祐、奥田民生……と枚挙にいとまがありません。あるとき、歌手の森山良子が、光進丸のトイレに大便を詰まらせてしまった。加山は“よくあることなんだよね”と、素手で大便を取って、ことなきを得たと言います。森山は、その姿を見て加山が大好きになったそうです」(前出の芸能記者)
そんな愛着いっぱいの光進丸だったが、加山が沖縄でコンサートを行っていた、18年4月1日に火災に見舞われ、全焼してしまう。しかし加山は、船を持つことを、まだ諦めていない。
「世の中に役立つ船をと、風力や太陽光といった自然再生可能エネルギーだけで動くエコシップを設計したそうです。19年には、海岸の美化のための『海その愛募金』を設立したり、さすがは“海の男”です」(前同)
人柄に目を向ければ、家柄もよく、明るく大らか。大物だからこその天然ぶりもかわいらしいという。
「母方の高祖父が、明治の元勲、のちに五百円札紙幣にも描かれた、岩倉具視という由緒正しい家柄に生まれた加山ですが、いまいちよく分かっていないようで、“岩倉具視って何した人なの?”と発言して、共演者を驚かせたこともありましたね」(芸能記者)
スター加山を周囲は気遣うも、本人はどこ吹く風……ということも多かった。
人気番組だが、PTAの子どもに見せたくない番組の筆頭だった、ドリフの『8時だョ!全員集合』(TBS系)からゲスト出演のオファーがあった際のことだ。
「東宝テレビ部は、スターのイメージを傷つける馬鹿なことはやらせないということを条件に、出演を承諾したんです」(前同)
しかし、本番当日のリハーサルで事件は起きた。
「大人気だった加藤茶のギャグ“うんこちんちん”を、加山本人がやると言い出したんです。スタッフは慌てふためいたそう」(前同)
その理由が、たまらない。
「“笑いがウリの番組に出演して、笑いに参加しなければ意味がない。それでは、歌番組に出演して、歌を歌わずに帰るようなもんだ”。そう言って、本番では大爆笑をさらいました」(前同)