■自然体で芝居をする西畑大吾がすごい

 西畑は、その愛らしいルックスと、自然で力の抜けた芝居が印象的だ。そして、ギャップを演じるのがとてもうまい。これまで出演した作品はどれも同世代で等身大の役を演じることが多く、ドラマのデビューは『ごちそうさん』(2014年/NHK)で、主人公の次男役として丸刈りで撮影に臨んだ。

 その後は『あさが来た』(16年/NHK)にも出演し、主人公の次男役として、二度目の朝ドラ出演を果たしている。どちらも次男らしい愛らしさがあって、役へのなじみ方がとても自然だった。

 また『僕らは奇跡でできている』(18年/フジテレビ系)では、群馬から上京してきた大学生を演じた。将来の目標はなく、大学で悠々と過ごしているのに、実家がこんにゃく農家であることを本気で恥ずかしいと思っている芝居は、心を揺さぶられた。

 今回、『新・信長公記』では、暑苦しく殺気立った男たちの中で、真逆ともいえる柔らかい雰囲気を醸しているのに、とても自然に溶け込んでいるのが面白いし、あざとさやかわいらしさを嫌味なく自然に芝居していることにすごみを感じる。かわいいだけではない秀吉の今後の立ち回りに注目したい。(文・青石 爽)

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