■NHK朝ドラ『ひらり』にも出演
「俺と一緒にNHKの朝ドラ『ひらり』にも出たし、役者としてもいける。思えば、先代もよく映画に出てたよね」(前出の毒蝮氏)
芸能活動以外でも、その見識は生かされている。
「ゲートボールの審判資格を持ち、代々木アニメーション学院の学院長だったことも」(演芸ライター)
その柔軟性は、二つの落語団体に属するという離れ業につながった。
「2017年、当時は歌丸さんが会長で、三遊亭小遊三さん、春風亭昇太さんも属する『落語芸術協会』への客員待遇での加入が認められた。これは大きな一歩だった」(演芸関係者)
実に39年ぶりに定席興行出演が実現したのである。
「円楽さんは若い頃に寄席を経験しているけど、その弟子は知らないわけですよ。やっぱり落語家は寄席を知っていたほうがいいのは確かだろうね」(毒蝮氏)
以後は、三遊亭好楽ら円楽一門会のベテラン落語家も、落語芸術協会の定席興行に出演するようになった。
「円楽さんが道筋をつけてくれ、定席経験のない一門の若手にも寄席への道が拓けた」(前出の関係者)
2021年にはかつての弟子でタレントの伊集院光と二人会を開催している。
「伊集院さんは、90年に落語家を廃業したんですが、円楽さんは以後も目をかけていた」(前出の放送作家)
伊集院が三遊亭楽大の名前で二ツ目として活動していた当時、変名を使ってラジオ番組に出演していたことが一門の中で問題に。しかし、円楽はずっとかばっていたという。
「関係各所で頭を下げる師匠を知って、自主廃業を決めた伊集院さんですが、当の円楽さんは“俺を尊敬してるなら弟子だ”と周囲にも言っていました」(前同)
弟子思いの円楽はまた、団体の垣根による閉塞感を誰より知る人物でもある。
「団体の枠を超え、東西の落語家が集まる落語イベントを、全国各地で開催しているのも、円楽さんならでは」(全国紙文化部記者)